睡眠の質を上げる微量栄養素

こんにちは。睡眠プライマリケアクリニック池袋です。今日は、睡眠と微量栄養素との大切な関係について、お話しさせていただきます。

睡眠に重要な栄養素、さまざまな微量元素には多くの見解や研究が存在します。しかし、近年の系統的レビュー、すなわち複数の研究結果を統合した報告によれば、鉄(Fe)マグネシウム(Mg)といった微量栄養素が睡眠の質を向上させることが示されています。[1]

これらの栄養素は、成長過程にある子どもの快適な睡眠や、年齢を重ねた方々の安定した休息にも非常に重要です。また、亜鉛(Zn)銅(Cu)カリウム(K)ビタミンB12などの微量栄養素も、睡眠時間に影響を及ぼすとされています。これらの栄養素は、興奮性や抑制性の神経伝達物質の調整や概日リズム遺伝子の発現に影響を与えることで、睡眠パターンに作用すると考えられています。[1]

参考記事一覧:

鉄を摂取するときに意識するべきヘム鉄とは? – 睡眠プライマリケアクリニック池袋

亜鉛と睡眠 〜バランスの良い食事を〜 – 睡眠プライマリケアクリニック池袋

鉄が不足して眠れない? – 睡眠プライマリケアクリニック池袋

しかし、現代の食生活において加工食品の摂取が多いため、鉄やマグネシウムなどの微量栄養素が不足しがちです。女性妊婦ベジタリアンダイエット中の方ご本人の健康状態から食事摂取量が不足している方は、これらの栄養素が不足する傾向にあります。

例えば鉄分は、女性にとって特に意識する必要がある栄養素です。月経による鉄分の喪失や、妊娠・授乳期のニーズ増により、不足するリスクが高まります。赤身の肉、豆類、ほうれん草などの食品を通して意識的に摂取することが勧められます。

また、マグネシウム不足はストレス[2]糖質の多い食事[3]に関連しており、ストレスをよく感じる方や不規則な食生活を送る方は特に注意が必要です。積極的にナッツ類、全粒穀物、葉緑野菜を食事に取り入れましょう。

睡眠に影響を与えるこれらの微量栄養素のバランスや摂取量を見直すことは重要ですが、個々の栄養状況の詳細はなかなか一人では分かりません。そのため、血液検査など、適切なサポートが必要な場合も多々あります。

そのような時には、睡眠プライマリケアクリニックにご相談いただければと思います。微量元素の欠乏による睡眠の問題が疑われる場合には、検査を行い、栄養学的視点からも睡眠を改善するアドバイスを行うことがあります。食事による睡眠改善は時間がかかる場合もありますが、栄養バランスの見直しによって入眠困難や中途覚醒といった症状が改善するケースもございます。皆様と共に最適な睡眠改善の道を探していきたいと考えておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

[1]Ji X, Grandner MA, Liu J. The relationship between micronutrient status and sleep patterns: a systematic review. Public Health Nutrition. 2017;20(4):687-701. doi:10.1017/S1368980016002603

[2]Pickering G, Mazur A, Trousselard M, Bienkowski P, Yaltsewa N, Amessou M, Noah L, Pouteau E. Magnesium Status and Stress: The Vicious Circle Concept Revisited. Nutrients. 2020 Nov 28;12(12):3672. doi: 10.3390/nu12123672. PMID: 33260549; PMCID: PMC7761127.

[3]Mooren FC. Magnesium and disturbances in carbohydrate metabolism. Diabetes Obes Metab. 2015 Sep;17(9):813-23. doi: 10.1111/dom.12492. Epub 2015 Jun 23. PMID: 25974209.