──運動習慣が“夜中のトイレ”を減らす鍵になるかもしれません──
夜中にトイレに何度も起きてしまうとつらいですよね。
「夜間頻尿は睡眠の質とも深く関わっている」ことは、これまでにもご紹介しました。
今回はその改善につながる生活習慣の工夫として「ウォーキング」に注目します。
最近の研究では、歩く習慣が夜間の排尿回数や眠りの深さを改善する可能性が報告されています。

沖縄で行われた研究では、夜間頻尿に悩む高齢男性30人を対象に、夕方または夜間に30分以上の速歩を週5回以上、8週間続けるウォーキングの効果が調べられました[1]。
ウォーキング開始から8週間経過後、顕著な改善が見られました。

睡眠だけでなく、血圧の変化(上が141→134 mmHg、下が88→84 mmHg)や体重・体脂肪率の減少など、全身の健康面にも良い影響がみられました。
研究では、体の組織に余分な水分がたまって「むくみ」として現れる浮腫(ふしゅ)の改善も認められましたが、その変化はわずかでした。夜間頻尿の改善には、それよりも運動によって眠りが深くなり中途覚醒しにくくなったことが関与していると考えられます。その結果、夜間の排尿回数が減った可能性が指摘されています。

夜間頻尿とウォーキングの関係を直接対象とした研究はまだ限られていますが、日常的な身体活動が睡眠全体に良い影響を与えることが報告されています。
日本の65歳以上の高齢者 約9,000人を対象にした地域調査でも、普段から身体活動が多く、社会的交流のある人ほど睡眠障害のリスクが低いことが示されました[2]。この結果は、日常的な身体活動が睡眠の健康に関連することを示す重要な知見といえます。

夜間頻尿は睡眠の質を妨げる症状ですが、研究ではウォーキングを続けることで夜間の排尿回数や睡眠の質、生活の質が改善することが示唆されています。
また、身体活動が多い人ほど睡眠障害のリスクが低いことも報告されており、運動習慣は夜間頻尿と睡眠の両方に良い影響を与える可能性があります。
無理のない範囲で、買い物や散歩など日常生活にウォーキングを取り入れてみるのもよいでしょう。
参考文献
[1]Sugaya K, Nishijima S, Owan T, Oda M, Miyazato M, Ogawa Y. Effects of walking exercise on nocturia in the elderly. Biomed Res. 2007;28(2):101–105.
[2] Seol J, Lee J, Nagata K, Fujii Y, Joho K, Tateoka K, Inoue T, Liu J, Okura T.
Combined effect of daily physical activity and social relationships on sleep disorder among older adults: cross-sectional and longitudinal study based on data from the Kasama study. BMC Geriatrics.2021;21:623. PMID: 34732144; PMCID: PMC8565015