超加工食品や糖分を多く含む食品を摂取すると睡眠の質が悪化する?食事と睡眠の関係

こんにちは。睡眠プライマリケアクリニックです。

「しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない」
「日中、どうしても眠くなってしまう」
そんなお悩みはありませんか?

睡眠の量と質は、私たちの健康に深く関わっています。睡眠不足や質の低下は、がんや心血管疾患のリスクを高めるだけでなく、認知症やアルツハイマー病などの認知機能障害とも関連していることが、最新の研究で明らかになっています[1]。

実は、この「睡眠の質」に、毎日の「食事」が大きく影響していることをご存知でしょうか。特に、スナック菓子やインスタント食品などの「超加工食品(UPF)」や、糖分が多い食品を摂りすぎると、睡眠の質が悪化する可能性を示唆する研究結果が報告されています[2][3]。

本記事では、最新の論文データを交えながら、加工食品や糖分が睡眠に与える影響について分かりやすく解説します。

忙しい現代人、若い世代ほど多い「外食・中食」への依存

ライフスタイルの変化により、私たちの食生活は便利になりましたが、その分、外食や中食(お弁当や惣菜を買って帰るなど)への依存度が高まっています。

厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によると、「外食を週1回以上利用している」人の割合は男性で41.6%、女性で26.7%にのぼり、特に若い世代でその傾向が顕著です[4]。

また、持ち帰りの弁当・惣菜を週1回以上利用する人の割合も男性47.2%、女性44.3%と高く、働き盛りの20~50歳代で頻繁に利用されている実態があります。手軽で美味しいこれらの食品ですが、その中には「超加工食品」が多く含まれている可能性があります。

睡眠と関係が深い「UPF(超加工食品)」とは?

UPF(Ultra-Processed Foods:超加工食品)とは、家庭のキッチンでは通常使われない食材や添加物を用いて、工業的なプロセスを経て作られた食品のことです。

NOVA分類という食品分類システムでは、食品を加工度合いによって4つのグループに分けており、UPFはその中で最も加工度が高いグループ4に該当します[2]。

UPFの特徴的な成分

  • 糖類:高果糖コーンシロップ、マルトデキストリンなど
  • 加工油脂:水素添加油脂、エステル交換油脂など
  • 添加物:香料、着色料、乳化剤、人工甘味料、保存料など

代表的な食品例[2]

  • スナック菓子
  • 大量生産された袋詰めのパン
  • チョコレート、キャンディー
  • インスタント麺、カップスープ
  • 冷凍ピザ、チキンナゲット
  • ソーセージ、ハムなどの加工肉製品
  • 炭酸飲料、エナジードリンク

これらは非常に美味しく(嗜好性が高く)、保存がきき、すぐに食べられるため、つい手が伸びてしまいがちです。しかし、この便利さの裏に、睡眠へのリスクが潜んでいるかもしれません。

習慣的にUPFを摂取すると不眠リスクが高まる?

UPFの摂取は、睡眠に悪影響を与えることが近年の研究で示唆されています。 2024年に発表されたメタ分析(複数の研究結果を統合して解析した信頼性の高い研究手法)によると、超加工食品(UPF)の摂取量が多いほど、不眠症のリスクが高くなるという関連性が確認されました[2]。

研究データによると、UPFの摂取量が多いグループは、少ないグループに比べて不眠症のリスクが約1.5倍(オッズ比 1.53)高くなることが示されています。

UPF摂取による不眠症リスクの上昇

UPF摂取が少ない
基準 (1.0)
UPF摂取が多い
1.53倍

出典:Pourmotabbed et al. (2024)[2] のデータを基に作成

※オッズ比:ある事象の起こりやすさを示す尺度。1より大きいほどリスクが高いことを示す。

なぜUPFが睡眠に悪影響を与えるのでしょうか? 一つの理由として、UPF中心の食生活になると、睡眠を促す栄養素(トリプトファンやマグネシウムなど)を含む野菜、果物、豆類などの摂取量が減ってしまうことが挙げられます[2]。また、UPFに含まれる高脂肪・高糖質の成分が体内の炎症を引き起こし、それが脳の神経伝達物質に影響を与え、睡眠リズムを乱す可能性も考えられています。

糖分の過剰摂取にも注意が必要

UPFだけでなく、「糖分」の摂りすぎも睡眠の質を下げる大きな要因です。 特に注意が必要なのは、果物や野菜に自然に含まれる糖ではなく、お菓子やジュースなどに人工的に加えられた「遊離糖(フリーシュガー)」です。
過剰な糖分摂取は、以下のような悪影響を及ぼすことが研究で示されています。

睡眠の質が低下する

遊離糖からのエネルギー摂取量が増えるほど、睡眠の質が低下する傾向が確認されています[3]。

日中に強い眠気(EDS)を感じやすくなる

中学生を対象とした研究では、遊離糖の摂取量が多い生徒ほど、日中に過度の眠気(EDS:Excessive Daytime Sleepiness)を感じるリスクが高いことが示唆されました[5]。

なぜ糖分が睡眠を妨げるのでしょうか。糖分を一度に多く摂取すると血糖値が急激に変動し、自律神経やホルモンバランスに乱れが生じます。その結果、睡眠が浅くなったり、夜中に目が覚める「中途覚醒」が増えたりして、十分な休養感が得られなくなると考えられています[3]。

睡眠の質の低下は「脳の健康」にもリスク

冒頭でも触れましたが、睡眠の質が悪化することは、単に「翌日眠い」という問題だけでは済みません。 2025年に発表された最新の研究(Huang et al.)では、睡眠の質が低いと、将来的なアルツハイマー病の発症リスクが高まることが報告されています。特に、アルツハイマー病のリスク遺伝子(APOE ε4)を持っている人の場合、睡眠の質が悪いとそのリスクがさらに増幅される可能性が示されました[1]。

つまり、食事を見直して睡眠の質を高めることは、将来の脳の健康を守るためにも非常に重要なのです。

まとめ

食事の内容が睡眠に与える影響は、科学的にも無視できないものになっています。 忙しい日々の中で、完全に加工食品を避けることは難しいかもしれません。しかし、以下のような小さな工夫から始めてみてはいかがでしょうか。

  • コンビニ弁当の頻度を少し減らし、自炊や定食屋を利用する
  • 甘い炭酸飲料をお茶や水に変える
  • スナック菓子の代わりに、ナッツや果物を食べる

超加工食品や糖分の多い食品の摂り過ぎに注意し、バランスの取れた食事を心がけることが、良質な睡眠、ひいては健康な未来への第一歩です。

睡眠に関するお悩みがある場合は、食事の見直しとともに、専門の医療機関への相談も検討してください。

参考文献

[1] Huang LY, Tan L, Tan CC, et al. (2025). Sleep quality, APOE ε4, and Alzheimer’s disease: associations from two prospective cohort studies and mechanisms by plasma proteomic analysis. BMC Medicine, 23:462. DOI:10.1186/s12916-025-04255-z

[2] Pourmotabbed A, Awlqadr FH, Mehrabani S, et al. (2024). Ultra-Processed Food Intake and Risk of Insomnia: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients, 16(21):3767. DOI: 10.3390/nu16213767

[3] Godos J, Grosso G, Castellano S, et al. (2021). Association between diet and sleep quality: A systematic review. Sleep Medicine Reviews, 57:101430. DOI: 10.1016/j.smrv.2021.101430

[4] 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告書」. 2019. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html

[5] Xi Y, Lin Q, Yang Q, et al. (2021). Association between Free Sugars Intake and Excessive Daytime Sleepiness among Chinese Adolescents. Nutrients, 13(11):3959. DOI: 10.3390/nu13113959