皆さんは、睡眠と食事には密接な関係があることをご存知でしょうか。特に果物や野菜の摂取が、良質な睡眠につながるという研究結果が注目されています。当クリニックでは、患者さんの睡眠の質を改善するために、食生活の見直しもアドバイスしています。今回は、睡眠と食事の関係について詳しくご紹介します。
果物・野菜摂取が睡眠に与える影響
最近の研究によると、果物や野菜を多く摂取している人ほど、良質な睡眠を取れているという結果が出ています。具体的には以下のような効果が確認されています。
- 睡眠時間の適正化:1日7〜9時間の適切な睡眠時間を取れる傾向がある[1]
- 睡眠の質の向上:深い睡眠の時間が増加し、夜中の目覚めが減少[2]
- 入眠時間の短縮:寝つきが良くなる[2]
- 日中の眠気の減少:活動時の集中力が向上する[1]
これらの効果は、果物や野菜に含まれる様々なビタミン類や食物繊維、ポリフェノールなどが関係していると考えられています[1][2]。
睡眠改善のための果物・野菜摂取のポイント
では、どのように果物や野菜を摂取すれば良いのでしょうか。以下のポイントを意識して、日々の食生活に取り入れてみましょう。
- 多様性を重視する
様々な種類の果物や野菜を摂取することで、幅広い栄養素を摂取できます[1]。
- 十分な量を摂る
1日約350gを目標にしましょう[2]。
- 添加物に注意する
砂糖不使用の、生の果物やドライフルーツ、濃縮還元ではない果実/野菜100%のドリンク/スムージーを摂取するとよいでしょう[2]。
- 継続的な摂取
一時的に多量に摂取するだけでは効果はあまりありません。長期的に習慣化することが重要です[1][2]。
食事の質と睡眠の質の関連性
最新の研究では、食事の質全体が睡眠の質と関連していることが明らかになっています[3]。健康的な食品の摂取は良好な睡眠の質と関連し、一方で加工食品や遊離糖(ショ糖・ブドウ糖・果糖など)を多く含む食品の摂取は睡眠の質の低下と関連していることが示されています[3]。
具体的には
- 野菜、果物、全粒穀物、魚などの健康的な食品を多く摂取する人は、睡眠の質が良い傾向にあります[3]。
- 加工肉、砂糖入り飲料、菓子類などの摂取が多い人は、睡眠の質が低下する傾向があります[3]。
- バランスの取れた食事パターンを持つ人は、全体的に睡眠の質が良好です[3]。
質の高い睡眠は、心身の健康に大きな影響を与えます。果物や野菜を中心とした健康的な食生活を心がけ、より良い睡眠習慣を身につけていきましょう。
睡眠でお悩みの方は、ぜひ当クリニックにご相談ください。丁寧に診察させていただきます。
参考文献
[1]Polianovskaia A, Jonelis M and Cheung J (2024) The impact of plant-rich diets on sleep: a mini-review. Front. Nutr. 11:1239580. doi: 10.3389/fnut.2024.1239580
[2]Noorwali E, Hardie L, Cade J. Bridging the Reciprocal Gap between Sleep and Fruit and Vegetable Consumption: A Review of the Evidence, Potential Mechanisms, Implications, and Directions for Future Work. Nutrients. 2019 Jun 19;11(6):1382.
[3]Justyna Godos, Giuseppe Grosso, Sabrina Castellano, Fabio Galvano, Filippo Caraci, Raffaele Ferri, Association between diet and sleep quality: A systematic review, Sleep Medicine Reviews,
Volume 57, 2021, 101430, ISSN 1087-0792