こんにちは睡眠プライマリケアクリニックです。
睡眠外来では光に関する説明・指導をさせて頂くことが多いです。朝日(午前中の光)を浴びて頂くことや夜間の光を避けることが睡眠リズムを作る上でも重要であることが知られています。
こちらも参照下さい:
・夜になっても眠れない。朝になっても起きられない。〜睡眠リズム障害かもしれません〜
・睡眠の問題について:朝起きられない・夜眠れない
実は光を適切な時間に浴びないことで、死亡率が上がることが過去から報告されていました。有名な研究としては、日光浴を避ける傾向のある女性は、そのような傾向がない女性に比べて、死亡率が高いことを示した報告などがありました(1)。
最近、UKバイオバンクと呼ばれる、イギリス人89000人を対象としたコホートで、30分ごとの光曝露量(手首の光センサーによる)の測定とその後の死亡率との関連を見た報告が発表されました(2)。その研究では、光曝露が下位半分(50%)だった人と、その他の集団の死亡率を比較されました。それによると、午前1時~6時に光曝露がある人(曝露レベルが集団の50%のレベルより多い)は死亡率が高く、6時~18時頃に光曝露がある人(曝露レベルが集団の50%のレベルより多い)は死亡率が低いという結果になりました(下記図)。
また、当人の概日リズム(本人にとっての体内時計)とずれの大きい光曝露も全死亡・心血管疾患リスクと関連することも示されました。
夜に多くの光を浴びることは体内時計を乱しホルモン分泌(メラトニン、コルチゾール等)に影響することや、昼間に日光を浴びることでビタミンDレベルが上昇することが原因として考えられています。
当然、本人の体内時計によって、いつ光を浴びるべきかは異なると考えられます。しかし、本人にとっての午前中から昼にかけて十分光を浴び、夜に光を避けた方が望ましいことは間違いないでしょう。
睡眠リズムだけでなく、健康の面でも、朝/昼に積極的に光を浴びる・夜に光を避けることを意識していきましょう。当院の記事が皆さまの睡眠や健康の改善の一助となることを願っております。
Reference
(1) Lindqvist, P. G., Epstein, E., Landin-Olsson, M., Ingvar, C., Nielsen, K., Stenbeck, M., & Olsson, H. (2014). Avoidance of sun exposure is a risk factor for all-cause mortality: results from the Melanoma in Southern Sweden cohort. Journal of internal medicine, 276(1), 77–86. https://doi.org/10.1111/joim.12251
(2) Windred, D. P., Burns, A. C., Lane, J. M., Olivier, P., Rutter, M. K., Saxena, R., Phillips, A. J. K., & Cain, S. W. (2024). Brighter nights and darker days predict higher mortality risk: A prospective analysis of personal light exposure in >88,000 individuals. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 121(43), e2405924121. https://doi.org/10.1073/pnas.2405924121