こんにちは。睡眠プライマリケアクリニックです。
楽天グループにおける消費者動向調査をもとにした「楽天グループ 2025年 睡眠トレンド予測」によると、2025年は「睡眠メシ」が流行すると予想されているようです[1]。
クリニックも、過去にも睡眠に良い食事内容を様々な形で紹介してきました。
・鉄が不足して眠れない?
・亜鉛と睡眠 〜バランスの良い食事を〜
・睡眠と食事の密接な関係 〜果物・野菜摂取で質の高い睡眠を〜
・睡眠リズムと食事
上記以外にも睡眠のために良い食事として、日本のガイドライン(睡眠ガイド2023[2])では、地中海食(魚、野菜、果物、ナッツ・豆類といった食品を中心とした構成)による睡眠の質向上に関する研究[3]が紹介されています。
良い睡眠のためには、基本的には、主食・主菜・副菜のあるバランスの良い食事パターン[2]や毎日同じ時間に欠食なく食べる規則的な食生活[4]が望ましいのですが、近年日本人の摂取量が減っている食品で、睡眠にとって良い可能性が高い食品を紹介したいと思います。それは「魚」です。
2000年以降、日本人の魚介類の摂取は減少しており、2000年代中頃から、肉類に逆転されました。
一方で、バランスの良い食事、と呼ばれる食事パターンには魚が入っていることが多いですが(実際に地中海食にも魚が含まれています)、実際に魚が睡眠に良いとされる研究も存在します。
魚や貝類に含まれる、ω3脂肪酸を多く含む食品/サプリを用いて睡眠に対する効果を見たランダム化比較試験(参加者をランダムに介入と対照群に振り分けた研究)を統合した、システマティックレビューが2024年に発表されました[5]。
その結果によると、ω3脂肪酸の摂取により、睡眠効率(睡眠時間/床上時間)、主観的な睡眠の質の有意な改善が見られました。ω3脂肪酸が神経保護作用やメラトニンを合成する松果体のリン脂質組成を改善することなどが報告されており、これはそのような機序によるものかもしれません。
実際、アメリカ精神学会は、全ての成人は週2回以上の頻度で魚を食べるように推奨しています[6]。これは特に、気分障害(うつ病や双極性障害)を対象としたものですが、睡眠障害はもちろん気分障害とも関係するため、睡眠障害の予防にも魚の摂取(特にω3脂肪酸であるEPA(Eicosapentaenoic acid)/DHA(Docosahexaenoic acid)が多く含まれる青魚)が重要と考えられるでしょう。
普段の食事の中で魚を積極的に取り入れて頂くことで、皆さまのより良い睡眠に繋がれば幸いです。睡眠でお悩みの方は、ぜひ当クリニックにご相談ください。丁寧に診察させていただきます。
【Reference】
[1] 楽天、「楽天グループ 2025年 睡眠トレンド予測」を発表
[2] 厚生労働省. 健康づくりのための睡眠ガイド2023. 2023年 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html ↩︎
[3] Godos J, Grosso G, Castellano S, Galvano F, Caraci F, Ferri R. Association
between diet and sleep quality: A systematic review. Sleep Med Rev 57: 101430, 2021.
[4] Shimura, A., Sugiura, K., Inoue, M., Misaki, S., Tanimoto, Y., Oshima, A., Tanaka, T., Yokoi, K., & Inoue, T. (2020). Which sleep hygiene factors are important? comprehensive assessment of lifestyle habits and job environment on sleep among office workers. Sleep health, 6(3), 288–298. https://doi.org/10.1016/j.sleh.2020.02.001
[5] Shimizu, K., Kuramochi, Y., & Hayamizu, K. (2024). Effect of omega-3 fatty acids on sleep: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Journal of clinical biochemistry and nutrition, 75(3), 204–212. https://doi.org/10.3164/jcbn.24-36
[6] Freeman, M. P., Hibbeln, J. R., Wisner, K. L., Davis, J. M., Mischoulon, D., Peet, M., Keck, P. E., Jr, Marangell, L. B., Richardson, A. J., Lake, J., & Stoll, A. L. (2006). Omega-3 fatty acids: evidence basis for treatment and future research in psychiatry. The Journal of clinical psychiatry, 67(12), 1954–1967. https://doi.org/10.4088/jcp.v67n1217