スヌーズって睡眠に悪いの?30分の「二度寝」が眠りと起床直後の認知機能に与える影響

朝、アラームが鳴ってもすぐには起きられず、スヌーズボタンを押してしまう方は少なくないでしょう。

その一方で、「細切れに眠ると睡眠の質が悪くなる」「二度寝をすると、かえって頭がぼんやりする」という漠然としたイメージから、スヌーズをやめるべきか迷っている方もいるかもしれません。

たしかに、アラームを何度も鳴らせば、起床前の睡眠は途中で中断されます。しかし、逆に最初のアラームで一度目を覚ますことにより、深い睡眠から突然起こされるのを避けられる可能性も考えられます。

スウェーデンの研究グループは、1,732人を対象とした起床習慣の調査と、普段からスヌーズを使っている31人を対象とした睡眠検査を行いました。実験では、最終起床時刻まで続けて眠る条件と、起床前の30分間に9~10分おきのスヌーズを繰り返す条件を比較し、睡眠の状態や起床直後の認知機能、眠気、気分などを調べています[1]。

本記事では、この研究をもとに、30分間のスヌーズで睡眠がどのように変化したのか、起床直後の頭の働きにどのような違いがみられたのかを分かりやすく解説します。

スヌーズを使うのはどんな人?1,732人の起床習慣を調査

最初の研究では、平均年齢34歳の1,732人に、睡眠や起床時の習慣について回答してもらいました。

その結果、スヌーズ機能を使う、または複数のアラームを設定することが「少なくとも時々ある」と回答した人は1,195人で、全体の69%でした。スヌーズは一部の人だけの特殊な習慣ではなく、比較的よくみられる起床方法だったことが分かります[1]。

スヌーズを使う人が、1回の朝にスヌーズしている時間は平均22分でした。アラームとアラームの間隔は平均8分で、60%の人が、アラームの合間に「たいてい」または「いつも」再び眠っていると回答しています。

スヌーズを使う人と、アラームは使うもののスヌーズは使わない人を比較すると、いくつかの違いがみられました。

スヌーズを使う人の平均年齢は30歳、使わない人は36歳で、スヌーズを使う人の方が平均6歳若い結果でした。また、スヌーズを使う人は、使わない人よりも夜型である可能性が約3.7倍高くなっていました。

仕事がある日の睡眠時間は、スヌーズを使う人で平均7時間25分、使わない人で平均7時間38分でした。差は平均13分と大きくはありませんが、スヌーズを使う人の方が短い傾向が示されています。一方、休日の睡眠時間や、本人が評価した睡眠の質には、明確な違いがありませんでした。

特に大きな違いがみられたのが、起床時の頭のぼんやり感です。スヌーズを使う人は、使わない人よりも、起床時に精神的な眠気を感じる可能性が約3倍高くなっていました[1]。

実際に、スヌーズを使う理由として最も多かったのは「疲れていて起きられない・眠すぎる」で、スヌーズ使用者の24.6%が挙げていました。次いで、「気持ちがよい」が17.4%、「ゆっくり、穏やかに目覚めたい」が16.6%でした。

つまり、スヌーズは、朝の強い眠気や起きにくさに対応するための行動として使われていると考えられます。

図1 スヌーズユーザーの特徴

30分間スヌーズすると睡眠はどう変わる?

次の研究では、普段からスヌーズを使用している健康な成人を睡眠検査室に招き、スヌーズが睡眠や起床後の状態に与える短期的な影響を調べました。

最終的な解析対象は31人で、平均年齢は27.5歳でした。参加者は全員、週に2回以上スヌーズを使い、アラームの合間には「ほぼいつも」または「いつも」再び眠る人でした。

同じ参加者が、別の日に次の2つの条件を経験しています。

スヌーズなしの条件では、普段の最終起床時刻まで連続して眠り、その時刻にアラームで起きました。

スヌーズありの条件では、最終起床時刻の30分前に最初のアラームを設定し、9~10分おきに3回スヌーズしてから起きました。

最終的に起きる時刻は両条件で同じです。脳波や眼球運動などを記録するポリソムノグラフィーによると、最後の30分間の実際の睡眠時間は、スヌーズなしの条件で中央値29分、スヌーズありの条件で23分でした。つまり、スヌーズによって、最後の30分間の睡眠は約6分短くなっていました[1]。

また、最後の30分間の睡眠効率は、スヌーズなしで95.1%、スヌーズありで75.4%でした。スヌーズありの条件では途中で目を覚ましている時間が長く、覚醒反応も増えていたため、この結果は妥当といえます。

浅い睡眠であるN1睡眠は、スヌーズありの条件で増えていた一方で、夢と関係することが多いREM睡眠は少なくなっていました。

今回、注目すべきなのは、深い睡眠であるN3睡眠です。スヌーズなしの条件では、31人中10人が最終起床前の30分間にN3睡眠を経験していました。一方、スヌーズありの条件では、この30分間にN3睡眠を経験した人はいませんでした。

細かな差はありましたが、一晩全体でみると、総睡眠時間や各睡眠段階の時間に、条件間の明確な違いは認められませんでした。したがって、30分間のスヌーズは起床直前の睡眠を分断したものの、一晩全体の睡眠構造への影響は小さかったということです。

スヌーズ後は起床直後の認知機能が低下する?

スヌーズによって睡眠が細切れになるのであれば、起床直後の頭の働きが悪くなるように思えるかもしれません。

研究では、最終起床の直後と、その40分後に、スマートフォンを用いた4種類の認知課題が行われました[1]。

調べられたのは、簡単な足し算に答える速さ、単語を覚えるエピソード記憶、一時的に情報を保ちながら処理する作業記憶、文字の意味と文字色が食い違う場面で反応するストループ課題です。

起床直後の結果では、スヌーズありの条件で、計算速度、エピソード記憶、ストループ課題の一部の指標がよい方向を示しました。少なくとも、習慣的にスヌーズを使っている参加者において、30分間のスヌーズによって認知課題の成績が一律に悪化したわけではありませんでした[1]。

この結果に関係すると考えられるのが、睡眠慣性です。

睡眠慣性とは、目を覚ました直後に眠気や頭のぼんやり感が残り、認知機能が十分に働きにくい状態を指します。スヌーズによって、深い睡眠から突然起こされる可能性が低くなり、段階的に覚醒できたと考えることができます。

エピソード記憶については、起床直後にみられた条件間の差が40分後には小さくなっていました。昼頃や午後の認知課題にも、スヌーズによる大きな違いは認められていません。スヌーズの影響があるとしても、主に起床直後の短い時間に限られ、生活全体としてスヌーズが「悪」であるとは言い切れません。

眠気や気分もスヌーズで改善したのか

認知課題の一部ではよい方向の結果がみられましたが、本人が感じる眠気については異なる結果でした。

参加者が回答した眠気の強さには、スヌーズありとスヌーズなしの条件で明確な違いがありませんでした。課題がうまくできたという自己評価や、課題に費やした努力にも、スヌーズによる明確な変化はみられませんでした。

気分についても同様です。社交性や楽観性、疲労感、機嫌の悪さや混乱感に、スヌーズの有無による明確な違いは認められませんでした。

一方、スヌーズの有無にかかわらず、起床直後から40分後にかけて、眠気、本人が感じる課題成績、社交性や楽観性、疲労感、気分など、多くの指標が改善していました。つまり、朝のぼんやり感を減らすうえでは、スヌーズを使ったかどうかよりも、起きてから一定の時間が経過することの影響の方が大きかったと考えられます。

図2 スヌーズの有無による気分の違い

スヌーズはやめるべき?

今回の研究では、習慣的にスヌーズを使う健康な若年成人が、起床前に30分間スヌーズした場合、最後の30分間の睡眠は約6分短くなり、睡眠が細切れになっていました。

しかし、一晩全体の睡眠構造には明確な違いがなく、起床直後の一部の認知課題は、スヌーズを使った条件でよい方向を示したものもありました。主観的な眠気や気分については、明確な改善も悪化も認められていません。

スヌーズを使っている方にとって、重要なのは、スヌーズそのものを善悪で判断することではなく、なぜ最初のアラームで起きられないのかを考えることです。

今回の調査では、スヌーズを使う人は夜型で、仕事日の睡眠時間がやや短く、朝に頭がぼんやりしやすい傾向がありました。スヌーズが問題の原因というより、睡眠時間の不足や、体内時計と社会的な起床時刻のずれを表すサインになっているのかもしれません。

スヌーズをなくすことだけに注目して、単に早い時間に無理やり起きるようにすれば、睡眠時間がさらに短くなることも考えられます。まずは就寝時刻、実際の睡眠時間、平日と休日の起床時刻の差などを見直すことが重要です。

十分に睡眠時間を確保しているにもかかわらず起きることが極端に難しい、といった場合には、睡眠を専門とする当院への相談もご検討ください。


参考文献

[1]Sundelin T, Landry S, Axelsson J. Is snoozing losing? Why intermittent morning alarms are used and how they affect sleep, cognition, cortisol, and mood. J Sleep Res. 2024 May;33(3):e14054. doi: 10.1111/jsr.14054. Epub 2023 Oct 17. PMID: 37849039.