意外と多い、小児の睡眠時無呼吸。子どものいびき・ADHD様症状を見たら、睡眠検査を

こんにちは。睡眠プライマリケアクリニックです。今日は子どもの睡眠時無呼吸のお話をできればと思います。

皆さん、睡眠時無呼吸は何となく大人の病気だと思っていませんか?実は子どもにも非常に多い病気であるということが知られています。

様々な研究がありますが、複数の研究を統合した分析によると、睡眠時無呼吸は小児の1~4%ほどに存在するとされています[1]。さらに放置することで不可逆的に学業成績、認知機能に影響することが知られています[2]。
少し古い研究ですが、1998年にアメリカで調査された研究では、小学1年生において、学業成績の悪い下位10%、297人を調査すると、なんと約18%に睡眠時無呼吸が見られたことを報告しています[3]。

非常に有病率が高いことから、アメリカ小児学会は、全ての子どもにいびきの有無について問診を行うことを推奨しています。そして、子どもにいびきに加えて、何らかの無呼吸症状(注意欠陥/多動性障害、学習障害、日中の眠気、起床時の頭痛、夜尿症、低体重/肥満、扁桃肥大、小顎症、発育不全等)がある場合には、睡眠PSG検査を行うことを推奨しています[4]。

特に注意すべき症状としては、ADHD様の症状があります。子どもは、日中の眠気を訴えず、代わりに落ち着きのなさ・不注意・多動性・反抗的行為等を示すことが知られています[2]。ADHDと似た症状が出るため、ADHDと間違われてしまうことが多くあります。ADHD症状のある子どもの半分以上に睡眠時無呼吸が見られるという報告[5]もあり、かなりの割合で無呼吸を合併しているようです。

外来での受診のきっかけは、子どもがいびきをかいていることに親が気づいて受診することが多いですが、一部ADHD症状をきっかけに、検査で発見されることもあります。ただ、発達障害の専門外来の中で睡眠検査をしないケースもあり、未診断の患者さんも多数いらっしゃることと思われます。米国の調査では、90%以上が未診断と言われており[6]、日本でも同様に診断率が低い可能性があります。

治療は扁桃肥大に対する摘出術が有効であることを示す報告が多数あります[2]。摘出術でADHD様症状や成績が改善したというデータも多く出ています

なかなか日本でも診断や治療が進んでいない小児の睡眠時無呼吸について今日はご紹介しました。子どものいびき、ADHDのような症状を見つけたら、まずは睡眠検査(PSG検査/簡易PSG検査)を検討頂ければと思います。

このようなお悩みも睡眠外来に是非ご相談ください。

Reference

[1] Lumeng, J. C., & Chervin, R. D. (2008). Epidemiology of pediatric obstructive sleep apnea. Proceedings of the American Thoracic Society5(2), 242–252. https://doi.org/10.1513/pats.200708-135MG

[2] Trosman, I., & Trosman, S. J. (2017). Cognitive and Behavioral Consequences of Sleep Disordered Breathing in Children. Medical sciences (Basel, Switzerland)5(4), 30. https://doi.org/10.3390/medsci5040030

[3] Gozal D. (1998). Sleep-disordered breathing and school performance in children. Pediatrics102(3 Pt 1), 616–620. https://doi.org/10.1542/peds.102.3.616

[4] Marcus, C. L., Brooks, L. J., Draper, K. A., Gozal, D., Halbower, A. C., Jones, J., Schechter, M. S., Ward, S. D., Sheldon, S. H., Shiffman, R. N., Lehmann, C., Spruyt, K., & American Academy of Pediatrics (2012). Diagnosis and management of childhood obstructive sleep apnea syndrome. Pediatrics130(3), e714–e755. https://doi.org/10.1542/peds.2012-1672

[5] Huang, Y. S., Chen, N. H., Li, H. Y., Wu, Y. Y., Chao, C. C., & Guilleminault, C. (2004). Sleep disorders in Taiwanese children with attention deficit/hyperactivity disorder. Journal of sleep research13(3), 269–277. https://doi.org/10.1111/j.1365-2869.2004.00408.x

[6] Honaker, S. M., & Meltzer, L. J. (2016). Sleep in pediatric primary care: A review of the literature. Sleep medicine reviews25, 31–39. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2015.01.004